飲食店開業にかかる費用とは? vol.2 スケルトンと居抜き物件比較
飲食開業にかかる資金とは? vol.1 でご説明したように「スケルトン」か「居抜き」かによっても開業にかかる資金は大きく異なります。
飲食店舗の物件は、「スケルトン」と呼ばれる内装・設備が何もない状態と、「居抜き」と呼ばれる前借主が営業していた時の内装・設備、厨房機器、什器、お皿やグラスなどが残っている状態に分けられます。
スケルトン物件では、ゼロから店舗設計を行い内装・設備の工事費や厨房機器を揃える為、理想に近い空間デザインや設備環境が実現できますが、工事に関わる投資比重が大きくなります。それに対し、居抜き物件は内装工事を最低限にする、もしくは行わないないことで、資金の初期投資を格段に抑えることができます。また、開店するまでの期間を短くすることで発生する賃料を抑えるメリットもあります。
下の表にスケルトンと居抜きの開業資金の内訳例を提示しました。立地や店舗規模が同じでも随分差があることが分かります。
【条件は同じ】
業態:居酒屋、坪数:15坪、席数:20席、家賃:20万円、保証金:120万円
(居抜き事例は、一部の壁の塗り替えやカウンターの改修、看板工事。食器洗浄機・客椅子を新規購入。)
上記の事例で特筆すべきは、居抜き物件は、スケルトンのハード(設計、工事、厨房、家具・什器)に関わる資金の4分の1程度で開業を実現している点です。流行り廃りの早い飲食業の業態寿命は2、3年とも言われる中で、いかに初期投資を抑え短期間で回収することが、事業継続の大事な要素となります。
日本政策金融公庫がまとめる『新規開業白書』によると、飲食店の開業資金の平均は、1800万円程度とされています。これは全業種の開業資金の平均1100万円程度を大きく上回るものです。他の業種の中でも特に廃業率が高いと言われる飲食店、その初期投資の大きさも廃業の一因と言えるでしょう。
スケルトンと居抜き物件での開業は、それぞれの良し悪しはあるものの、資金面だけで見ると初期投資を抑えることが出来る居抜き開業は、個人や小規模でスタートする飲食店開業には向いていると言えます。
進行役 川瀬 亮太
飲食店プロデュース会社、ROOTage(株) 代表取締役。
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